新たに導入された「褥瘡マネジメント加算」とは?
適切な褥瘡ケアは加算の対象になる
褥瘡マネジメント加算について
褥瘡を防止するための対策を行っている施設が算定できる加算を、褥瘡マネジメント加算といいます。褥瘡の発症リスクを可視化し、予防のための計画を立て、適切に運用している施設を評価するものです。2018年度に新設され、2021年度の介護報酬改定で内容の変更が行われています。2021年度の変更では、上位区分として適切な褥瘡の防止に取り組んだ施設に対し、アウトカム評価の加算が行われることになりました。従来の褥瘡管理プロセスを評価する加算は褥瘡マネジメント加算Ⅰとして残り、個別の状態応じた褥瘡ケアを実施した施設はより高く評価されるようになっています。
また、褥瘡の予防ケアは継続的な取り組みが必要なため、算定の期限がなくなり6ヶ月以上の算定が可能になりました。必要な介護を適切に提供するために、LIFEとの連動についても算定要件に組み込まれています。同時に、スクリーニングと褥瘡ケア計画の様式も定められ、利用者の状態やリスク要因などの評価指標が統一化しています。なお、算定できる対象サービスについても一部変更がありました。従来の対象サービスに追加する形で、看護小規模多機能型居宅介護も対象サービスに含まれています。
対象サービスと算定要件
褥瘡マネジメント加算の対象サービスは「介護老人福祉施設」「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護」「介護老人保健施設」「介護医療院」「看護小規模多機能型居宅介護」です。
褥瘡マネジメント加算Ⅰの算定要件は、まず1つ目は褥瘡の発生と関係するリスクについて、施設入所時などのタイミングで利用者ごとに評価した上で、3ヶ月に1回は評価を実施してその結果を厚生労働省に提出し、フィードバックの内容を褥瘡ケアに活用していることです。2つ目は、評価結果を基に発症リスクのある利用者に対し、スタッフが共同して褥瘡ケア計画を作成していることです。3つ目は、作成した褥瘡ケア計画に沿って褥瘡の防止に努め、その内容や利用者の状態について定期的に記録していることが算定要件として定められています。また、少なくとも3ヶ月に1回、利用者ごとに褥瘡ケア計画の見直しが必要です。
褥瘡マネジメント加算Ⅱについては、褥瘡マネジメント加算Ⅰの算定要件を満たしていることが前提で、評価結果によって褥瘡の発症リスクがあるとされた利用者に褥瘡がないことが算定要件として定められています。なお、介護医療院については褥瘡マネジメント加算ではなく褥瘡対策指導管理が適用されます。
このように、褥瘡の予防や改善が評価されるようになったことから、これまで以上に褥瘡ケアに対する意識が高まり、重要視されていることが分かります。
褥瘡への関わり方をもっと学びたい介護士におすすめ
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介護士ができるのは予防ケアのみ
褥瘡の処置は医療行為になるので、介護士ができるのは予防ケアのみです。自分の行為が医療行為に該当しないように注意してください。褥瘡の原因や症状についても確認しておきましょう。