早期発見と適切な対応が大切
褥瘡が重症化する前に
早期発見が大切
褥瘡の処置は医療行為なので介護士が行うことはできません。しかし、介護士は利用者と接する機会が多いので、早期発見や予防ケアにおいては重要な役割を担います。早期発見することで重症化を防ぎましょう。
DESIGN-Rについて
褥瘡の診断は皮膚の所見や経過によって行われます。重症度分類は日本褥瘡学会が定めるDESIGN-Rという指標によって決められます。DESIGN-Rは褥瘡の「深さ(D)」「滲出液(E)」「大きさ(S)」「炎症(I)」「肉芽組織(G)」「壊死組織(N)」の頭文字を取ったものです。褥瘡の状態をそれぞれの視点で判定し、重症の項目は大文字、軽症の項目は小文字で表記されます。英語の後には数字が表記され、数字が大きくなるにつれ状態が悪いことを示します。DESIGN-Rは介護や医療に携わる人がすぐに対象者の状態を把握できるように点数化しており、現場においては非常に重要な指標です。
褥瘡の治療法
褥瘡は状態によって治療法が異なるので、医師や看護師に相談が必要です。薬の塗布が基本的な治療法になりますが、壊死した皮膚がある場合は感染症を防ぐために切除することもあります。また、新たな褥瘡の発症を予防しつつ治療が進められます。回復の過程は皮膚の色を表した「黒色期」→「黄色期」→「赤色期」→「白色期」の順で進みます。深い褥瘡の場合、肉芽組織が正常の皮膚組織よりも柔らかく傷つきやすいため、慎重に治療しなければなりません。水分の調整をする表皮がないので、細かい調整が必要になります。肉芽組織に直接触れる外用剤や創傷被覆材は慎重に選ばなければなりません。
外用剤にはいくつかの種類があります。ヨウ素含有製剤は治りかけの褥瘡には向いていませんが、細菌感染しているケースにおいては有効です。スルファジアジン銀は感染予防や壊死組織の除去、水分保持などの効果を見込めます。これと同じように、創傷被覆材にもいくつかの種類があります。いずれも、状態に応じて適切に使い分けなければなりません。
浅い褥瘡については2週間~3週間で改善されるケースが多いです。一方で、深い褥瘡は容易に改善することはなく、壊死した皮膚をメスなどで除去するケースも少なくありません。壊死した皮膚を除去することを、デブリードマンと呼びます。デブリードマンは、新しい皮膚が作られるまでこまめに繰り返されます。その他にも、他の部位の皮膚を使って褥瘡を覆う再建術や、褥瘡ができている部位をビニールで覆い皮膚の再生を促進する陰圧閉鎖療法などがあります。
褥瘡への関わり方をもっと学びたい介護士におすすめ
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介護士ができるのは予防ケアのみ
褥瘡の処置は医療行為になるので、介護士ができるのは予防ケアのみです。自分の行為が医療行為に該当しないように注意してください。褥瘡の原因や症状についても確認しておきましょう。