介護に必須の<褥瘡>基本知識

特に褥瘡ができやすい部位

褥瘡ができやすい部位と合併症

姿勢によって異なる

特にできやすい部位

特にできやすい部位

褥瘡は全身に発症するものではなく、一定の部位にできやすくなっています。特に骨が突出した部位は長時間の圧迫による褥瘡の発症リスクが高く、注意が必要です。褥瘡のできやすい部位としてまず挙げられるのは、仰臥位によって圧迫される部位です。仰臥位とは、仰向けで寝た姿勢を指します。具体的な部位として、後頭部、肩甲骨部、脊柱部、仙骨部、踵骨部などがあります。後頭部は固い枕を使用することで発症リスクが高まります。肩甲骨部は仰臥位で最も体重がかかる部位です。脊柱部は腰が曲がった状態だと特に発症リスクが高まります。仙骨部や踵骨部も骨が突出しており、負担が大きい部位です。
側臥位によって圧迫される部位にも注意が必要です。側臥位とは、横向きで寝た姿勢を指します。具体的な部位として、耳介部、肩関節部、肘関節部、腸骨部、大転子部、膝関節部、外踝部などが挙げられます。耳介部は固い枕を使用することで発症リスクが高まります。肩関節部は側臥位で最も体重がかかる部位です。肘関節部、腸骨部、大転子部、膝関節部、外踝部は側臥位において特に骨や関節の突出が顕著な部位です。
寝ている時だけでなく、椅子に座った姿勢でも褥瘡の発症リスクがあります。特に注意が必要なのは、坐骨部、尾骨部、背部、肘関節部です。坐骨部と尾骨部は椅子の座面に当たる部位で、負担が大きくなります。背部は椅子の座面と汗による皮膚の湿潤で褥瘡の発症リスクが高まります。肘関節部は車椅子のタイヤに擦れやすい部位です。

合併症にも注意

褥瘡が進行すると、合併症の発症リスクが高まります。皮膚の真皮から奥の筋肉や骨にまで広がると、炎症が悪化して水疱、壊死、膿などによって体液が漏れ、重要な栄養素であるたんぱく質や水分が流れてしまいます。その結果、低たんぱく血症などの合併症が引き起こされます。
また、損傷した部位から細菌が侵入して感染症を発症する可能性もあります。骨まで達する褥瘡ができた場合は骨髄炎を起こすこともあるため十分に注意しなければなりません。血液内に細菌が侵入した場合、全身に細菌が及んで死亡に至るケースもあります。おむつをしている場合は、排せつ物と肌が密着しているので感染症の発症リスクがさらに高まります。
高齢者は体力や免疫力が弱く、合併症の発症リスクが通常よりも高い状態です。褥瘡が原因の感染症によって健康を害した利用者やその家族が施設に対して訴訟を起こした例もあるので、介護士は常に利用者の肌の状態を観察して、異常があればすぐに報告するように心がけなければなりません。

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