介護に必須の<褥瘡>基本知識

褥瘡を防ぐためのポジショニング方法

ポジショニングの手順とクッションの当て方

体圧を分散させて心地よい姿勢を保つポイント

クッションによる圧力の集中

クッションによる圧力の集中

体位変換の際、利用者の体の下にクッションを差し込むケアは日常的に行われています。しかし、クッションの角が強く当たっていたり、無理に押し込んだりすると、その部分に強い圧力が集中し、かえって褥瘡の原因になってしまうことがあります。良かれと思って行ったケアが皮膚へのストレスを強めてしまうケースは、現場でも少なくありません。ポジショニングを行う上で大切なのは、点で支えるのではなく、面で支えるという意識です。体の曲線に沿うようにクッションを配置し、体重が広い面積に分散されるように工夫しましょう。また、クッションが硬すぎたり、逆に柔らかすぎて体が沈み込みすぎたりしていないか、利用者の表情や様子を観察しながら細かく調整することが大切です。

姿勢に応じた適切な配置

利用者の姿勢(体位)に応じて、適切にクッションを配置する技術が必要です。現場でよく対応する姿勢として、まずは横向きに寝た姿勢である側臥位(そくがい)が挙げられます。この姿勢では、背中、膝の間、あるいは足首の下の箇所にクッションを補うのが効果的です。特に背中は、背骨のラインに沿ってクッションを面で当てることで、体が後ろに倒れるのを防ぎ、姿勢が安定します。また、膝同士が直接ぶつかるとその部分が強く圧迫されるため、太ももから膝にかけて大きめのクッションを挟んで保護すると良いでしょう。次に、仰向けに寝た姿勢である仰臥位(ぎょうがい)の状態でベッドを上げる場合です。食事やテレビ鑑賞などでベッドの背もたれを上げる際、お尻や太もものの裏に強い力がかかります。ベッドを上げる前に、あらかじめ膝の下にクッションを入れ、膝を軽く曲げた状態を作っておくことで、体が足元の方へ滑り落ちるのを防ぎ、お尻にかかる圧力を分散させることができます。

仕上げに必要な「圧抜き」

ポジショニングを行う上で、見落としがちですが非常に重要なのが、圧抜き(あつぬき)と呼ばれる作業です。これは背抜きやお尻抜きとも呼ばれます。クッションを当てて体を動かした後、利用者の衣類や皮膚がベッドシーツに引っ張られて、皮膚が引っ張られるズレの力が残ることがあります。この突っ張りが皮膚に負担をかけ続けるため、体位変換の仕上げとして適切な手順を行いましょう。まず、体の向きを整えたら、利用者の背中や肩の下に優しく手のひらを差し入れます。そしてシーツと衣類の間の突っ張りを取り除くように、手のひらをスーッと滑らせていきます。同様の手順でお尻の側や太もものの下にも手を滑らせ、皮膚の引きつれを解放します。このひと手間を加えるだけで、皮膚にかかる摩擦やズレの力が和らぎ、褥瘡のリスクを軽減できます。このように、適切なポジショニングはクッションの当て方だけでなく、最後の丁寧な仕上げによって完成します。利用者がリラックスして心地よく過ごせる環境づくりのためにも、日々の予防ケアの中でこの圧抜きの技術をぜひ意識して取り入れてみてください。

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