介護に必須の<褥瘡>基本知識

褥瘡を発見した時の対応方法

褥瘡発見時の初期対応と報告の流れ

適切な初期対応が重症化を防ぐ

発見時の緊急対応とNG行為

発見時の緊急対応とNG行為

褥瘡を発見した際、介護士が最初に行うべきは患部への圧迫を即座に除去することです。体位変換により患部を上にして圧力を取り除き、クッションやタオルを使って患部が接触しないよう工夫してください。この時、患部を直接触ったり押したりするのは絶対に避けましょう。絶対に行ってはいけないNG行為として、新たに薬剤を判断して塗布したり、医師・看護師の指示なく独自に薬剤や消毒液を使用することは、医行為に該当し、医師法違反と評価される可能性があります。また、医師や看護師の具体的な指示がない限り、介護士が独自の判断で患部を洗浄したりガーゼで覆ったりすることは控えてください。善意で行った処置が症状を悪化させるリスクもあります。
施設のマニュアルや医療職の指示の範囲で、患部周辺の清拭と乾燥状態の維持を行うことが、介護士に可能な応急対応です。患部そのものではなく、周囲の皮膚を清潔に保つことで感染リスクを軽減できます。また、患部が衣類や寝具に接触しないよう、体位や環境を調整することも重要な初期対応です。発見時は慌てずに冷静な対応を心がけ、患部の状態を悪化させない環境作りに集中しましょう。適切な初期対応により、その後の治療効果も大きく変わってきます。

医療職への報告手順

褥瘡発見後は速やかに医療職への報告が必要です。報告の優先順位は、まず施設内の看護師、次に主治医となります。夜間や休日の場合は、施設の緊急連絡体制に従って適切な医療職に連絡してください。
報告時に伝えるべき情報は、発見時刻、患部の場所、大きさ、色調、滲出液の有無です。「仙骨部に直径約2センチの赤い斑点を発見」といった具体的な表現を使用しましょう。また、利用者の痛みの訴えや発熱の有無、食事摂取状況なども併せて報告します。写真撮影は、施設の規程や同意の取り扱いに従って行います。利用者本人の意思とプライバシーに十分配慮し、必要に応じて家族にも説明します。撮影時は適切な角度と照明を確保するようにしましょう。写真は医療職の診断材料として非常に有効です。
家族への連絡については、医療職と相談の上で行います。介護士が直接連絡する場合は、事実のみを伝え、診断や治療方針については医師からの説明を待つ旨を伝えます。憶測や個人的な判断は避け、客観的な情報提供に徹することが大切です。

発見後の観察ポイント

褥瘡発見後は継続的な観察が重要になります。原則として、毎日同じ時間帯に患部の状態を確認し、変化を記録します。観察すべきポイントは、患部の大きさ、色調の変化、滲出液の量と性状、周囲皮膚の状態です。悪化のサインとして注意すべきは、患部の拡大、色調の暗色化、滲出液の増加や膿性への変化、悪臭の発生です。これらの症状が見られた場合は、直ちに医療職に報告します。また、利用者の発熱や食欲不振なども全身状態の悪化を示すサインとして重要です。
治療開始後の介護士の役割は、医師の指示に従った環境整備と予防的ケアの継続です。患部への直接的な処置は行えませんが、体位変換の頻度を増やしたり、栄養状態の改善に努めたりすることで治癒を促進できます。記録作成では、客観的で具体的な表現を心がけてください。「少し赤い」ではなく「直径1センチの淡い紅斑」といった正確な記述が求められます。写真と併せて経過を記録することで、医療職との情報共有がより効果的になります。
再発防止のためには、褥瘡発生の原因を分析し、ケアプランの見直しを行うことが重要です。体圧分散用具の追加や体位変換の頻度調整など、具体的な改善策を多職種で検討しましょう。

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